義肢装具コラム

ユーザーのための義足フィッティング入門①~フィッテング感の伝え方~

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義肢装具士への義足のフィッテング感の伝え方について

みなさんはじめまして。義足専門製作所ゲイトアシストの義肢装具士、富永です。
私が多くの義足ユーザー様のフィッティングをしていると以下のような声を聴きます。

「なんか歩きにくいけどよくわからないな」

「断端が痛い気がするけど、たぶん大丈夫かな」

ここから先でユーザー様から情報を聞き出し、不具合の原因を特定していくのが義肢装具士の腕の見せ所な訳です。
よって、ユーザーの皆様は上記のようなおおまかな感想をおっしゃっていただくだけで、もちろんOKなのです。
しかし、おおまかな感想から原因を特定していくのは時間も手間もかかるので、より具体的な感想をユーザー様から早い段階で得られればフィッティングはスムーズに進みやすいと思います。

そこで私のコラムでは「ユーザーのための義足フィッティング入門」と題して、義肢装具士として「こんな風にフィッティングの感想を言ってもらえたら助かるなぁ」と日々の臨床で感じていることをお伝えしていきたいと思います。
私のコラムが一人でも多くの義足ユーザー様のフィッティングがスムーズに進む助けとなればうれしいです。

 

「立っているとき」と「歩いているとき」の感想を分けて伝えてみよう!

多くのユーザー様は仮合わせの時に、義足を装着するとすぐに歩き出されます。
もちろん概ねフィッティングが悪くないからこそ「歩き出せる」とも言えるので悪いことではありません。
そして、「何かつま先が硬いかな。。。」といったフィードバックを伝えてくださります。
多くの場合、私はこのあとに「自然に立ってみると、どのように感じますか?」という確認をします。
するとユーザー様は「後ろに押される感じがあるかな?」とか「立っているだけの状態では普通にまっすぐ立てますよ」といった感想がでます。

さて、上記の例を整理してみましょう。下図のように考えられます。

歩いているときには「つま先が硬い」という1種類の不適合の感覚なのに、自然に立つと「後ろに押される」という場合と「問題がない」場合に分かれます。なぜそのようなことが起きるかというと実は「歩くときにつま先が硬い」という不適合の感覚を発生させる原因は大きく分けて「角度」か「位置」いずれか(もしくは両方)の原因があるためです。

義肢装具士としては、「Aという不適合を発生させる原因は角度と位置両方あるな、どちらが今回の真の原因かな?」と考え、その真の原因に合わせた調整をしていかなければなりません。なぜなら、誤った原因に対応する調整を行ってしまうと、いつまでたっても改善しないか、他の不適合が発生してしまうからです。

最後に

さて、まずは細かい理屈は抜きにして「歩いているとき」と「立っているとき」の感覚の違い、もしくは一致感を義肢装具士に伝えてみてください。ぐっと義肢装具士の理解度が深まるはずです!

ところで、「角度」とか「位置」といきなり説明していますが、何のことやら???と思っている方もおられるかと思います。
理屈なんかどうでもいいよ!という方は上記だけでも気を付けていただければOKです。「なんで?」と思われる方は、次回以降で解説を進めていきますので是非お楽しみに!

 

about author
富永 修一(Tominaga Shuichi)
・義肢装具士&G-ROOMライター
ゲイトアシスト代表
・医学博士