義肢装具コラム

労災を受ける権利に時効があるの知っていますか?

労災を受ける権利に時効があるの知っていますか?

Atelier Natural平岡製作所代表の義肢装具士の平岡です。

筆者の製作所のお客様で、労災保険の義肢等補装具支給制度での装具製作相談を受ける際に、ごく稀に労災認定の時効が切れてしまっていて公的サービスで義肢装具の制作ができない方を見ることがあります。

労災を受ける権利には時効があり、過ぎてしまうと労災の公的サービスを受けることが出来なくなってしまいます。

そうなると義肢や装具を労災保険の制度で作ることができなくなってしまいます。今回は、「労災の時効」について解説させて頂きます。

 

労災には時効がある

労災保険の請求には、給付金の種類によって2年か5年の時効があります。
詳しく給付金の種類別にはここでは記載しませんが、義肢装具に関係する障害給付は

「傷病が治癒(障害が固定)されたひから5年」

上記が時効の起算日から時効までの期間となります。

 

 

労災保険の義肢等補装具支給制度で義肢や装具を制作するメリット

労災保険を使って義肢装具を制作する場合1つの障害部位につき対応年数毎に2本同じ義肢装具の制作が可能です。
これに対して障害者手帳を使って制作する場合は1障害部位につき対応年数毎に基本的には1本までしか作れません。
また労災保険で制作する場合義足などに使われる特殊な部品の選択の幅がより多い範囲から選べる場合も少なくありません。
このような理由から労災保険が使える場合は圧倒的に良い条件で義肢装具の制作ができます。

労災の申請をされてない方で義肢装具の制作が後からでも必要に感じた方は是非お早めに管轄の労働基準監督署に相談することをお勧めします。

筆者の経験として

筆者のもとに若い時には必要としなかったが後年義手などを必要とする機会が出来て、義肢や装具の製作を相談しに来たけど、時効により労災での製作ができなかった人が少なからずいました。
時効が過ぎてしまった人にお話を聞くと会社に迷惑だから、自分の不注意で怪我をしたのだから公的なお金を受け取るのは申し訳ないから、等とご自身を責めてしまっているような方が少数ですが数名いらっしゃいました。
労災にしても、障がい者手帳にしても公的資金はお互いがお互いに何かあった時のため税金という形で皆から集めたお金を使って助け合うためのものです。
皆さん税金を払ってるのだからサービスを受ける権利は当然あります。
逆に申し訳無いなんて感じられてしまうと、他のみんなも何かあったときに安心して公的サービスに頼れない世の中になってしまいます、ですので気兼ねなどしないで労働基準監督署や福祉課等に相談してください。

困ったときには頼れるしっかりした福祉制度がこの国にはあります。

※労災保険制度詳細については、厚生労働省HP「アフターケア・義肢等補装具費支給制度等」にも案内が掲載されています。
※義肢装具の手続きについては、国立障害者リハビリテーションセンターHP「制度について」にも案内が掲載されています。

 

about author
平岡 敬悟(Hiraoka Hiranori)
・義肢装具士
Atelier Natural. 平岡製作所代表
・やってきたこと:フルコンタクト空手、油絵
・これからやってみたいこと:レザークラフト、水墨画、日本画