義肢装具コラム

義手の劣化を少しでも遅らせる方法

義手の劣化を少しでも遅らせる方法

義手の劣化を少しでも遅らせる方法

こんにちわ。Atelier Natural平岡製作所代表の義肢装具士の平岡です。
シリコン製や塩ビ製の装飾義手。経年劣化で表面がツルツルに擦り減り見た目が悪くなってくることにお悩みではないでしょうか、経年劣化などは生活上仕方がなく生じるのですが、少しの工夫と気遣いで劣化の速度をずいぶん遅らせることができます。今回はその方法の一つをご紹介します。

長義手の劣化の主な原因の一つに摩擦があります

以下の写真のように新品の時には細かい表現が細部にまで施された装飾義肢なども生活の中時間の経過とともに表面が摩耗し、いずれ大きく劣化していきます。
この様な摩耗は人間の活動の中でズボンに擦れる、上着の袖に義手を通そうとする際に引っかかって擦れるなど少しずつの摩耗が積み重なって引き起こされます。中でも袖に義手を通す、ポケットに入れるなどの行為の繰り返しがある程度の時間をかけて全体的な摩耗を促進します。


<劣化前>


<劣化後>

摩耗を少しでも減らすための工夫

ビニール袋をかぶせる

袖に義手を通す、ポケットに入れるなどの時に薄いビニール袋をかぶせると上着の布地との摩擦が少なくなり、滑らかにストレスなく義手を通せるようになります。
布地の凹凸に義手が引っ掛かることがなくなり表面に施されたしわなどの彫刻が摩耗ですり減ることが軽減されます。

これだけでも表面の摩耗はかなり改善されるようになります。

当たり前の話ですが装飾義肢の表面はいかに精巧に作られていても人間の皮膚とは違い、代謝により常に新しい表皮が出てくるわけではないので、使用によりいずれ摩耗しすり減ってきてしまいます。
少しの工夫と気遣いである程度劣化の速度を緩やかにできるのでぜひ試してみてください。

 


about author
平岡 敬悟(Hiraoka Hiranori)
・義肢装具士
Atelier Natural. 平岡製作所代表
・やってきたこと:フルコンタクト空手、油絵
・これからやってみたいこと:レザークラフト、水墨画、日本画