こんにちわ。Atelier Natural平岡製作所代表の義肢装具士の平岡です。
今回は、40代以上の方で脳卒中等病気や大きな障害が残る怪我で入院して急性期の治療やリハビリを終えて退院した後も、公的な福祉サービスでリハビリを受けられることについてご存じない方が多く感じられるので執筆します。
筆者が過去に対応した装具ユーザーさん、具体的には脳卒中片麻痺での短下肢装具の方の話ですが、退院後特にリハビリなどを受ける機会がなく、時間が長く経つにつれてだんだん自分の歩き方が悪くなってきたとお悩みを相談受けた事があります。
介護保険を利用したリハビリのサービスは脳卒中以外にも様々な症例に対応できますが、今回は脳卒中での片麻痺が固定した障がい者の方を例に介護福祉サービスを使ったリハビリについて紹介していきたいと思います。
脳卒中等で急性期に入院してから治療とリハビリを行うことで人間の体は回復に向かいます。
ただ、脳卒中等大きな病では体の機能の回復には個人毎に限界もあり、完全な機能回復とは至らず、どこかで症状が固定される事もあります。
基本的に症状が固定された後は、治療という名目での医療保険を使ったリハビリを受ける機会は無くなります。
退院後は障害者手帳で装具を定期的に更新、製作される方は多いのですが、障がい福祉サービスは病状が固定した後の障がい者のためのものなので、基本的に治療や回復に向けた医療系のサービスは多くありません。
この事から退院後リハビリから離れたことによって時間とともに筋力や歩き方のフォームがだんだん崩れて、跛行が出てしまう方も少なくありません。
そのような方が一人でも少なくなれば良いという思いで介護保険を使って通所や訪問リハが受けられるという制度を少し紹介したいと思います。
身体障がい者のリハビリに関係する支援制度
まず脳卒中や四肢切断等の大きな病気や怪我をした場合、病院で急性期治療を受けます。
治療の一環として可能な限りの回復のためにリハビリを行います。
この時に使っているのは医療保険の制度を使ったリハビリのサービスです。
その後、可能な限りの回復が終了したが、体の機能の一部が完全な状態まで回復しなかった状態を障害が固定した状況といいます。
退院して障がい者という状態になります。
障がい者が何かしらの福祉支援サービスを使うときに、今まで使っていた医療保険のサービスはもう使えなくなり、「『障害者総合支援法』に準拠した『障がい者福祉サービス』」か、もしくは「『介護保険法』に基づく『介護保険サービス」のどちらかを使うこととなります。
どちらの制度にも、類似するサービスがオーバラップしてあるのですが、「障がい者福祉サービス」にあって「介護保険法サービス」には無いといったサービスや、その反対のケースも存在します。
前者「障福祉サービス」の代表的なサービスとして「義足や装具等の支給に関する補装具支給」があり、後者「介護保険サービス」の独自サービスとしては「訪問リハ、訪問看護、通所リハ支援など」のサービスがあります。
「障害福祉サービス」は、上述のとおり「障害が固定している障がい者のためのサービス」となり、これらリハビリに関する医療支援サービスが無いことが背景なのか、弊所の義肢、装具ユーザ様においては、リハビリサービスを受けている方は、多くありません。
「なぜ義肢、装具ユーザーにおいて『介護福祉サービス』の『リハビリに支援に関するサービス』を使っていない方が多いのか?」
この理由については明確な理由や大規模なリサーチをしたものでは無いのですが、筆者の経験からの肌感覚として書かせていただきます。
まず義足や装具等はそれ自体が無いと歩行や生活が出来ず、経年劣化が進んだ先には必ず更新する必要が出てきます。
入院時に医療保険で製作した装具も対応年数毎に製作しなかったとしても、いずれ劣化したときには必ず更新するので「障害者総合支援法」の「障害福祉サービス」は定期的に使用することになります。
それに比べるとリハビリなどで訓練して、会得した歩行技術は、
「退院後すぐにまたすぐにリハビリが必要ではないため、介護福祉サービスを使用しないまま長い年月が経ってしまっている場合が多いことが、この原因なのではないか。」と感じています。
障がい者のリハビリの重要性(「治療としてのリハビリから、より長く健康でいるためのリハビリへ」)
入院中の急性期の治療及びリハビリによって人体は回復していき、障害が残った場合に、「障害が固定した障がい者」となります。
ここで問題なのは、障害は固定してそれ以上の機能の変化は無くなっても、人間の老いによる筋力の低下を防ぐ運動を意識して行わないと、少しづつ、これら筋力や機能は低下していくということです。
退院後にリハビリの機会を作り、自発的な運動をしなければ、筋力の低下や歩行のフォームがだんだんと崩れていき、いずれ跛行など、歩き方が大きく崩れる事態になりかねません。
筆者が対応させて頂いた短下肢装具のユーザー様でも退院後数年ぶりに更新で会った時に、歩き方が崩れていたということがありました。
話を聞くとリハビリどころかほとんど外出もされないという状況でした。
やはり定期的な運動や可能であればプロの指導のもと、リハビリを受けるのが望ましいと心から思います。
筆者としては、「介護福祉法の福祉サービス」である「訪問リハ、通所リハ」を上手に活用する事を、ぜひ強くお勧めしたいです。
訪問リハ、通所リハなど介護福祉サービスを受けるにはどこに相談をすれば?
ここでの細かい分類や手続きの詳細説明などは割愛します。
まずは、各市町村の福祉課で、「要介護認定を受けたい。」と伝え、相談して頂くのが第一歩となります。
その際には、ご自身の状況と訪問リハなどのサービスを受けたいという意思を伝え頂き、市などの職員の方からご説明を受けてください。